遺言書の正しい書き方|千葉の弁護士が教える「もめない遺言」のポイントと失敗例

「自分が亡くなった後、家族が遺産で揉めてほしくない」「子どもたちに公平に財産を残したい」「特定の人に確実に財産を渡したい」——。
こうしたお気持ちから遺言書の作成を考える方は年々増えています。しかし、せっかく書いた遺言書が法的要件を満たしていなかったり、内容が不十分だったりして、かえって家族間のトラブルを招いてしまうケースも少なくありません。
千葉市の藤井雅子法律事務所では、遺言書の作成サポートを数多く手がけてきました。この記事では、法的に有効な遺言書の書き方から、よくある失敗例、「もめない遺言」を作るためのポイントまで詳しく解説します。
遺言書がないと何が起こるか
遺言書がない場合、遺産は法律で定められた割合(法定相続分)に従って分けることになります。しかし実際には、以下のようなトラブルが発生しがちです。
「実家をどうするか」で揉める:不動産は現金と違って簡単に分割できません。「売却して分ける」「誰かが住み続ける」の判断で意見が分かれることがあります。
「誰がいくらもらうか」で感情的な対立に:法定相続分は平等でも、「親の介護をしたのは自分だ」「生前に多額の援助を受けていたのはあの人だ」といった不満が噴出します。
手続きに全員の合意が必要になる:遺産分割協議には相続人全員の署名・押印が必要です。一人でも反対すれば、銀行口座の解約すらできません。
遺言書があれば、これらの問題を大幅に回避できます。
自筆証書遺言と公正証書遺言の違い
遺言書には主に2つの種類があります。それぞれのメリット・デメリットを理解して、ご自身に合った方法を選びましょう。
自筆証書遺言
遺言者本人が全文を手書きで作成する遺言書です。
メリット:
- 費用がかからない(紙とペンがあれば作成可能)
- いつでも自分だけで作成・修正できる
- 内容を誰にも知られずに作成できる
デメリット:
- 書き方を間違えると法的に無効になるリスクがある
- 紛失や偽造のおそれがある
- 相続開始後に家庭裁判所での「検認」手続きが必要
公正証書遺言
公証役場で公証人に作成してもらう遺言書です。
メリット:
- 公証人が関与するため、法的に無効になるリスクが極めて低い
- 原本が公証役場に保管されるため、紛失・偽造の心配がない
- 検認手続きが不要で、相続開始後すぐに使える
デメリット:
- 公証人手数料がかかる(財産額に応じて数万円〜)
- 証人2名の立会いが必要
- 作成に手間と時間がかかる
弁護士からのアドバイス:財産が多い場合や、相続人間のトラブルが予想される場合は、公正証書遺言を強くおすすめします。費用はかかりますが、確実性が段違いです。千葉市内には千葉公証役場がありますので、弁護士がサポートしながら手続きを進めることができます。
自筆証書遺言の書き方(法的要件を満たす具体的な文例)
自筆証書遺言には、法律で定められた厳格な要件があります。一つでも欠けると無効になりますので、注意が必要です。
4つの必須要件
- 全文を自筆で書くこと(パソコンやワープロは不可。ただし財産目録のみパソコン作成可)
- 日付を正確に書くこと(「令和○年○月○日」と特定できること。「○月吉日」は無効)
- 氏名を自筆で書くこと
- 押印すること(認印でも可だが、実印が望ましい)
文例
遺言書
遺言者 藤井太郎は、次のとおり遺言する。
第1条 遺言者は、以下の不動産を妻・藤井花子(昭和○年○月○日生)に相続させる。
所在 千葉市中央区○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○.○○平方メートル
第2条 遺言者は、○○銀行○○支店の普通預金(口座番号○○○○○○)を
長男・藤井一郎(平成○年○月○日生)に相続させる。
第3条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として次の者を指定する。
弁護士 ○○○○
住所 千葉市○○区○○
令和○年○月○日
千葉市○○区○○町○丁目○番○号
遺言者 藤井太郎 ㊞
やってしまいがちな失敗例5つ
失敗例1:日付が「○月吉日」になっている
日付は特定できなければなりません。「吉日」では日が特定できないため、遺言書全体が無効になります。
失敗例2:パソコンで本文を作成してしまった
自筆証書遺言は本文をすべて手書きする必要があります(2019年の法改正で財産目録のみパソコン可になりましたが、その場合は各ページに署名・押印が必要です)。
失敗例3:財産の特定が曖昧
「自宅を妻に」ではなく、所在・地番・地目・地積まで正確に記載する必要があります。不動産は登記簿の記載どおりに書きましょう。
失敗例4:遺留分を考慮していない
「全財産を長男に」と書いても、他の相続人には法律で保障された最低限の取り分(遺留分)があります。遺留分を侵害する遺言は無効ではありませんが、他の相続人から遺留分侵害額請求をされる可能性があり、結局トラブルになります。
失敗例5:遺言執行者を指定していない
遺言執行者がいないと、相続手続きがスムーズに進まないことがあります。信頼できる弁護士を遺言執行者に指定しておくことをおすすめします。
遺留分を考慮した遺言書の作り方
「もめない遺言」を作るためには、遺留分への配慮が不可欠です。
遺留分の割合は以下のとおりです。
- 配偶者・子ども:法定相続分の2分の1
- 父母のみが相続人の場合:法定相続分の3分の1
- 兄弟姉妹:遺留分なし
たとえば、相続人が配偶者と子ども2人の場合、配偶者の遺留分は全体の4分の1、子どもそれぞれの遺留分は全体の8分の1です。
遺言書を作成する際は、各相続人の遺留分を下回らないように配分するか、遺留分を侵害する場合はその理由を「付言事項」に記載しておくとよいでしょう。
法務局の自筆証書遺言保管制度の活用
2020年7月から始まった自筆証書遺言保管制度を利用すると、法務局が遺言書を預かってくれます。
メリット:
- 紛失・偽造の心配がなくなる
- 家庭裁判所での検認手続きが不要になる
- 形式面の確認をしてくれる(内容の有効性の判断はしない)
- 手数料は1通あたり3,900円と安価
千葉市の方は、千葉地方法務局で保管の申請ができます。
弁護士に遺言書作成を依頼するメリットと費用
遺言書は一人でも作成できますが、弁護士に依頼するメリットは大きいです。
- 法的に有効な遺言書を確実に作成できる
- 遺留分に配慮した、トラブルを防ぐ内容を提案できる
- 税務面(相続税)も考慮したアドバイスが受けられる
- 遺言執行者として手続きを任せられる
費用の目安は、自筆証書遺言の作成サポートで10万円〜20万円程度、公正証書遺言の作成サポートで15万円〜30万円程度です(別途、公証人手数料がかかります)。
「元気なうちに」が鉄則です
遺言書は、判断能力があるうちに作成する必要があります。認知症が進行してから作成した遺言書は、無効とされるリスクがあります。
「まだ早い」と思うかもしれませんが、遺言書の作成に「早すぎる」ということはありません。家族の笑顔を守るために、今から準備を始めましょう。
藤井雅子法律事務所では、初回45分の無料相談で遺言書に関するご質問にお答えしています。お気軽にお問い合わせください。
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